アンリクワイヤード・ラブ
「涼、やっぱりここにいた。」
風堂くんに "ユキ先輩"と呼ばれた人は
肩より少し下の黒髪を
ふわふわと巻いて 風になびかせている
二重の切れ長の目は
どこか 大人な雰囲気をだしていて
とても 綺麗な人だ。
「なんでここに…」
「教室にいなかったから
ここかと思ったの。
あたしの予想 的中!」
お茶目に笑いながらそう言う
「…何か用ですか?」
無愛想に言う風堂くん。
「これ…」
風堂くんがいつも読んでいるような
難しそうな本を手渡す"ユキ先輩"
「借りてたやつ返そうと思って。」
「……」
風堂くんは本を黙って受け取る。