アンリクワイヤード・ラブ





「…はぁ」



風堂くんの事…諦めた方がいいのかな……

あんな場面見たあとで
堂々と 好きでいられる自信ないよ…



「あー!これでため息5回目だよ?」



夏海ちゃんがノートで軽くあたしの頭を叩く。



「そんなに…ため息してた…?」



お昼以外は 一緒にいる事が多くなって
話すのも慣れつつある。



「なになに!恋の悩み?」



「夏海ちゃん…もし…もしだよ?」



「うん?」



「自分に好きな人がいるとして
でも、その好きな人には
別の好きな人がいる。

こんな状況になっちゃったら どうする?
諦めちゃった方が楽だと思う?」



夏海ちゃんは少し考えた後
はっきりとした口調で答えてくれた


「ん〜。あたしだったら
好きでいちゃうかもな〜。

諦めようって思ってるうちは
絶対、諦められないと思うし…

だから、相手に好きな人がいても
とことん好きでいる…かな?」



「なんかすごいね。夏海ちゃん。
強いって言うか なんと言うか…」



あたしには そんな強さないよ

風堂くんを好きって気持ちは大きいのに
うまくいかなくて…

風堂くんの中の " 先輩 " の大きさを知って
こんな弱気になって。

馬鹿らしくなってきちゃった。



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