アンリクワイヤード・ラブ





「…聞いてもいい?」



夏海ちゃんが 真剣な眼差しで
あたしの方を見る。



「どうしたの…?」



内心 ドキドキしながらも
顔には出さないように
夏海ちゃんの顔を見る。



「恵夢って好きな人いる…よね?
それって誰か聞いてもいい?」



そういえば、
夏海ちゃんに言ってなかったっけ…



「驚いちゃっダメだよ…?」


シーンとした雰囲気の中
夏海ちゃんは 頷く。


「お弁当…一緒に食べてるって
言ってた人いるでしょ?」



「あぁ!5組の?その人なの?」



「そうなんだけど…
あのね…ふ、風堂くん……なの…」



語尾に近づくにつれて
小さくなるあたしの声…



「えええええええええっ?!!」



それとは真逆に 大声をあげる夏海ちゃん。



「な、夏海ちゃん!
驚いちゃダメって…」



あたりを見渡しながら
夏海ちゃんにシィーと
口に指をあてる仕草をする



「あぁ、ごめんごめん…
まさか 風堂 涼だとは思わなくて…」



「そうだよね…
あたしも 今だに夢かと思っちゃうもん」



風堂くんは すごい人で…


あたしは 平凡で何の特技もないし。


知り合えたこと自体 奇跡に近いことだ……



< 46 / 64 >

この作品をシェア

pagetop