アンリクワイヤード・ラブ




「風堂くんは あたしを惑わす天才だね」


風堂くんと 行動や言葉…仕草で
上がったり下がったり

感情がふわふわして落ち着かない…



「なにそれ…」



「あたしね、風堂くんの笑顔が大好き!
笑顔が見れるだけで話せるだけで幸せで…」


前までは そうだった…

風堂くんとこうして
何気ない会話できるだけで
会えるだけで それだけでよかった…


「でも…今は違う…
もっと…風堂くんの側に行きたい……

こんなに近くにいるのに…
風堂くんが遠いよ……」



気持ちの距離は いつだって
風堂くんには近づかない……



「…このまま好きでいても意味ないの?」



「………」



ねぇ…風堂くん……教えてよ…



「ごめん…」


「…あたしこそ……ごめんなさい…っ

もう…ここに来るのやめるね……
困らしちゃってごめん……ばいばい…っ」



涙を堪えるのも限界で
あたしは 逃げるように走った…


ガチャっと勢いよく開けた
扉の先に人がいて ぶつかってしまう


「あれ…あなた……」


聞き覚えのある声…
ちらっと 顔を見ると

"先輩"が 立っていた


あぁ…今1番会いたくなかった……


「す、すいません……」



ペコっと頭を下げて
泣いてる顔を見られないように

そのまま 階段を駆け下りた





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