アンリクワイヤード・ラブ





それから 風堂くんに会わないまま
2週間が経とうとしていた–––––。


今は蝉の声が うるさく聞こえる7月。


「あ〜暑い…溶けちゃいそう……」



夏海ちゃんが 険しい顔をしながら
うちわで 扇いでいる。



「もう、夏休みだね〜」



冷たいお茶を飲みながら
あたしは 夏海ちゃんの方を向く



「風堂は どうなったの?」



「…っ!ゲホッ…ゲホッ……」


いきなり 風堂くんの名前が出て
思わず飲んでいたお茶を吹き出してしまった



「ちょっとー!大丈夫?」


夏海ちゃんは
あたしの背中をさする。


「い、いきなり風堂くんの名前出すから!」



「だってさー、このまま夏休みとか
気持ち的に嫌じゃない?

まぁ、あたしの考えなんだけどさ〜」



……確かに 嫌だ…
風堂くんにもう一度会いたい…

でも…風堂くんは迷惑かもだし…

あー…でも……会いたい…



「どうしよ…夏海ちゃん……

なんか考えてたら風堂くんに
会いたくなってきちゃった…」



「会いに行ってきたら?」



夏海ちゃんは平然と言うけど…
無理だよ……うん…無理。



「2週間も会ってなかったんだよ?
なに話せばいいか……

もしかしたら 嫌われちゃったかもだし…」



「でも 会いたいんでしょ?」



「うん…会いたい…」



「じゃあ、会いに行ってきなよ〜
今の時間だったら屋上にいるんじゃない?」


夏海ちゃんが
あたしを教室から引っ張りだす


「な、夏海ちゃん…」



「いってらっしゃーい!」


あたしの背中を強く押した後
教室から手を振る夏海ちゃん



…これは……
行かないといけない感じだよね…



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