アンリクワイヤード・ラブ






「…よいっしょっと……」



風堂くんをベッドの上に寝かせて
ひと息をつく。



「あの…風堂くん……
風邪薬とかってある?」



市販のものより
病院でもらう薬の方がいいんだけど

この状況じゃ 行けそうにないもんね…



「…ない……」



「じゃあ、あたし買ってくるね!」



鞄の中から財布を取り出して
部屋を出ようとした時



「早川…ごめん……ありがと…
でも 帰ってくれて…大丈夫だから……」



「…あ、えっと……ごめんなさい…
あたし 余計なことを……」


また あたし 後先考えずに……



「そんなじゃなくて…
風邪うつっても…あれだし…
…それに これ以上 早川に迷惑かけられない…」



「迷惑じゃないよ!
あたしが心配なだけだし…
せめて…お家の人が帰ってくるまで一緒に…」



このまま 風堂くん1人だと
なんかほっとけないし…



「誰も帰って来ない……
俺…一人暮らしだから。」



「じ、じゃあ 尚更 ほっとけないよ!
待ってて、薬だけでも買ってくるから!」



そう言って あたしは
風堂くんの家を勢いよく出た。




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