ジェントルマンッ❣
「さっ、さとし先輩!あたし約ッッ…」
川野先輩はあたしの口を抑えた。
さとし先輩が通りすぎると川野先輩は手を離した。
「ごっ、ごめん。つい…………」
「あっ、いえっ。だっ、大丈夫ですか?先輩?」
「ん?なんで?」
「いや、今日優しいし待っててくれるし、変だなって…………」
少し変な沈黙が続く。
「なんだよ……それ。
………なぁ、お前にとっての俺って何?ただの先輩?…………………………………答えろよ……」
悲しそうな先輩は、あたしの顎を持ち、クイッと上げた。
「あっ、あたしにとってのせっ、先輩は………………………………」
何なんだろう?いったい、あたしは先輩とどうなりたかったんだろう?
「せっ、先輩!あっ、あたし帰ります!すみません。また明日!」
答えが分からないあたしは、また逃げる。
ごめんなさい、先輩。
昨日だったら、大好きなあこがれの先輩って答えられたけど、あたしの心の中には迷いが生じていた。
逃げ帰ったあたしは、寮で色々なことを考えた。
今、心の中にいる人は誰?
川野先輩?それとも他の先輩?
……………まさか…………さとし先輩??