「先生、それは愛だと思います。」完

「う、嘘だ……」
そんな中、秋の模試の結果が返ってきた。
予備校にまで通わせてもらったのに、結果は全く良くなかった。
志望の国立大はC判定で、苦手だった英語は成績がむしろ下がってしまった。
自分の部屋で模試の結果を見た私は、ショックでその場に座り込んだ。

こんなんじゃ、お母さんにも、仙田先生にも、高橋先生にも顔向けができない。
私一体、何をやっていたんだろう。
「最低だ、私……」

これじゃ絶対に受からない。切り替えなきゃ。
そう思った私は、すくっと立ち上がり、部屋中の漫画と編み物セットを段ボールにぶち込み、スマホの電源を切った。

一度、何もかも断ち切ろう。
今は、自分の未来を決める大切な時期なんだから。
恋だのなんだの言ってる場合じゃないよ。

私は、一度自分の頬を強く叩き、勉強机に座って参考書を開いた。
「ことり、今日のご飯はー?」
一階からお母さんの声がしたが、私は素っ気ない声で〝冷蔵庫に入っているから適当に食べて〟と言った。
お母さんは私と一緒に食べたがっているのは知っていたが、今はそんな余裕はなかった。
まるで取り憑かれた様に、今ある問題から逃げる様に、私はひたすらペンを動かした。
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