「先生、それは愛だと思います。」完


「文ちゃん先輩、なんか痩せました? 大丈夫ですか?」
「し、鴫ちゃん、ありがとうね……」
「部室寄ってってくださいよ! 甘いものありますよ」
そんなこんなで猛勉強を初めて、一ケ月が経ってしまった。
食事のとき以外は常に参考書を読んで、夜遅くまで過去問とひたすら向き合った。
そのおかげで少しずつ勉強が定着している実感はでてきたが、中々模試の点数は上がらず、体はどんどん弱っていった。
睡眠不足のせいでストレスも溜まり、先生ともあまり連絡を取れず、母ともよく喧嘩をするようになってしまった。
そんなぎりぎりの状態で学校に通っている所を、鴫ちゃんに発見され、私は部室へと連行された。相当やばい目つきをしていたのだろう。

「文ちゃん先輩、お茶飲んでください。あとこれ、和菓子、甘くて美味しいですよ」
「鴫ちゃん、すまんね……」
「文ちゃん先輩顔真っ白ですよ~」

部室に入ると、こぞって後輩たちが心配してくれたので、なんだか申し訳ない気持ちになった。
鴫ちゃんが出してくれた、白餡の入った栗型の和菓子を食べると、ほんの少し気持ちが安らいだ。

「ありがとう鴫ちゃん、美味しいよ」
「良かったです。沢山食べてくださいね」
「……そういえば、心美ちゃんは最近来てる?」
「高橋さんですか、最近はもうめっきり来ていませんよ」
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