「先生、それは愛だと思います。」完
「先生のことを好きでいると、辛いこと沢山あるっ……」
こんなこと言ったら、折角縮まった距離がまた遠くなってしまう。
「ただ先生のことが好きなだけなのに、どうして私だけこんな思いをしなくちゃいけないのっ……」
分かってるのに、止まらない。
「こんなんじゃ、受験受からないよっ……」
……信じられないくらい身勝手で子供な発言をしてしまった。でも、そんな発言をしてしまうほど、私の心は限界値まで達していたんだ。
ごめんなさい、先生。
呆れてるよね。やっぱり子供だなって思ったでしょう?
私も自分が嫌になるよ。こんな風に八つ当たりするなんて。
『……文ちゃん、今日、家おいで』
しかし、先生の口から出た言葉は、とても意外なものだった。
意表を突かれて、言葉を返すことを一瞬忘れていると、先生は落ち着いた声でもう一度話し始める。
『帰さないから、泊まるように親にちゃんと言っておくこと』