「先生、それは愛だと思います。」完
苦しくて、愛しい
「じゃ、苦手な分野、この目次のページにマークして」
予備校終わり、先生の言うとおりマンションへと向かうと、先生はすぐに参考書を広げる様に指示した。
一体どんなことを言われるのだろうと、不安でドキドキしながら向かったのに、高橋先生はいつも以上に〝先生〟だった。
「あの、高橋先生、一体どういう……」
「今日徹夜で勉強するぞ。今日中にWEB模試の点数絶対上げてやるから」
「え、徹夜ですか!?」
帰さない、とは徹夜で勉強をするからだったのか……。
変にドキドキしてお泊りセットを持ってきてしまった自分が恥ずかしい。
そんな私を完全に無視して、先生は勉強モードに入っている。
眼鏡姿を久々に見たので、私はさらにドキドキしてしまっているというのに、とんだ拍子抜けだった。
「……あの、先生、さっき電話で言ってしまったこと気にしているんなら……」
「あんなに泣きそうな声で、こんなんじゃ受験受からないよ、なんて言われて放っとけるわけないだろ」
「ほ、本当にごめんなさい……」