「先生、それは愛だと思います。」完
全くいつもと変わりのない態度に、私は少し拍子抜けした。
やっぱりあの一夜のことは、全てが冗談だったんだ。
私ばっかりヤキモキしていて、本当にバカみたいだ。
私は先生に、からかわれただけだったんだ。
それなのに、先生を好きだった気持ちがまだ完全に消えていなくて、二ヶ月ぶりに会えたことが嬉しいと感じてしまう自分がいる。それがとても悔しくて悲しい。
告白なんて、しなきゃよかった。
告白さえしなければ、綺麗な思い出のまま終わらせることができたのに。
「私はもう、先生と会いたくないです……」
からかわれたことが悲しくて、思わず口から零れてしまった。
高橋先生は、何か考える表情をしてから、口を開こうとしたけれど、その言葉を聞くことが怖くて、私は早口で言葉を捲し立てた。
「もうこの前のことは忘れてください、すみませんでした」
それだけ言い残してから、私は足早に青葉学園から離れた。
先生はどんな顔をしていたのか、私は知らない。