「先生、それは愛だと思います。」完
……苦手な分野だけを徹底的に勉強して、いつの間にか朝になっていた。
お互い知らぬ間に寝てしまっていた様で、先生は机に突っ伏してすーすーと寝息を立てている。
こんなに無防備な先生を見たのは初めてだったので、私は思わずときめいてしまった。
「高橋先生……」
こんな風に大事にされたら、私は勘違いしてしまいますよ。
先生が本当に、私のことを愛してくれるんじゃないかって。
綺麗な睫毛を伏せて寝ている彼の頭を、そっと優しく撫でてみた。
サラサラとした黒髪が指の間を流れ、すぐに元の位置に戻る。
こんなにボロボロになるまで、自分の為に時間を使ってくれた先生に、ときめかないわけが無いよ。
寝顔を見れば見るほど、胸の中がきゅうっと狭くなって、愛しいという感情が溢れだしてくる。
「高橋先生……好きです」
思わず声に出してしまった。
でも、一度呟いただけでは、とても足りなかった。
「好きです……本当に。好きなんです、高橋先生……」
ぽつぽつと、ひとりごとを呟くように愛を語った。
たかが高校生の恋愛時感情なんて、中々本気にされないかもしれない。