「先生、それは愛だと思います。」完
仲良いわけないでしょう、どこをどう見てるんだか、バカね。
私は、予備校にいる文月ことりを見に行くために、昨夜勝手に祥太郎の鞄からこのテキストを盗んだのよ。
心の中で嘲笑いながら、私は母に笑顔を向けて、家を出た。
外はもう薄暗く、冬の冷たい風が頬を掠める。
私は、一昨日先生に浴びせた自分の言葉を思い出しながら、予備校へと向かった。
……少し追い詰めすぎたかもしれない。
でも、あれくらいしないと、先生は目を覚ましてくれそうになかったから。
『お前、わざとテキスト抜いただろ』
届けに行く、というメッセージを送ったところ、祥太郎からすぐに返信が来た。
まあ、そりゃあバレますよね。
『授業の時間二十分ズレたから俺まだ予備校いない』
『勝手に予備校入ったらぶち殴る』
本当この男口が悪い。そんなに私のことが嫌い? それとも怖いの?
これでもし予備校に文月が一人でいたら最高だわ。
「……暴いてやるんだから」
低い声で呟いて、私は目の前に聳え立つマンション――予備校に足を踏み入れた。
部屋の番号は母から聞きだしていたので、番号を入力してインターホンを鳴らした。
『はい』
声を聞いて、すぐに文月だと分かった。
何故なら生徒は二人しかいないと知っていたし、先生は男であることも分かっている。
私はできる限り人のよさそうな表情と話し方でマイクに向かってしゃべった。
私は、予備校にいる文月ことりを見に行くために、昨夜勝手に祥太郎の鞄からこのテキストを盗んだのよ。
心の中で嘲笑いながら、私は母に笑顔を向けて、家を出た。
外はもう薄暗く、冬の冷たい風が頬を掠める。
私は、一昨日先生に浴びせた自分の言葉を思い出しながら、予備校へと向かった。
……少し追い詰めすぎたかもしれない。
でも、あれくらいしないと、先生は目を覚ましてくれそうになかったから。
『お前、わざとテキスト抜いただろ』
届けに行く、というメッセージを送ったところ、祥太郎からすぐに返信が来た。
まあ、そりゃあバレますよね。
『授業の時間二十分ズレたから俺まだ予備校いない』
『勝手に予備校入ったらぶち殴る』
本当この男口が悪い。そんなに私のことが嫌い? それとも怖いの?
これでもし予備校に文月が一人でいたら最高だわ。
「……暴いてやるんだから」
低い声で呟いて、私は目の前に聳え立つマンション――予備校に足を踏み入れた。
部屋の番号は母から聞きだしていたので、番号を入力してインターホンを鳴らした。
『はい』
声を聞いて、すぐに文月だと分かった。
何故なら生徒は二人しかいないと知っていたし、先生は男であることも分かっている。
私はできる限り人のよさそうな表情と話し方でマイクに向かってしゃべった。