「先生、それは愛だと思います。」完
「わ……私は……あなたとは違……」
……結局は私も、感情だけに突き動かされて、私なら先生を理解できると自惚れていたイタい女だ。
文月は、自分の子供さを認めて、もしバレた時自分はなんの責任もとれないことも、自分がどれだけ非力であるかもっていた。分かっていた。
現実的に考えて、教師との恋がどれだけハイリスクなのかを知ったうえで、それでもなお彼のそばにいたいと言った。
後悔さえも、証になると言って。
「私は先生に、好きって気持ちがなんなのかを、少しでも知ってほしい……」
……ああ、この子は、高橋先生に自分の時間を預ける覚悟をしたんだ。
非力な自分にできることは、彼を信じてあげること。それしかないのだと、悟っていたんだ。
私は、彼と彼の時間を奪うことばかり考えていた。
自分を好きになって欲しかった。先生に愛される優越感が欲しかった。とにかく欲しかった。与えることなんて考えたこともなかった。
自分に欠如していた部分か顕在化して、それはまるでブラックホールの様に私を内側から駆逐していく。
「健気ぶってんなよっ、気持ち悪い!」
「ストップ」
パニックになり、文月の胸ぐらに掴みかかろうとすると、真冬だというのに汗だくの祥太郎がいた。
私達の間に割って入り、文月をかばうように私を威嚇している。
「勝手に予備校入ったらぶち殴るって言ったよな、クソ女」
「……なんなの、どいつもこいつも」
「文月、大丈夫か」