「先生、それは愛だと思います。」完

バカだなって思う?
しつこい女って思う?
そんなの知らない、先生が好きにさせたんだもの。
もうここまできたらなりふり構っていられないよ。

なんだかもう、四年分の想いが募りに募って、爆発してしまった私は、行き場のない怒りを口にしてしまった。


「なんで会っちゃったかな、今更っ……、私はもう、先生に会いたくなかったっ……」

――ひどい暴言を吐いたはずなのに、私はなぜか先生に抱きしめられていた。
四年ぶりの先生の体温に、香りに、一気にあの頃の記憶が引き戻されて、急激に心臓が音を速めた。

「会いたかった……」

先生の吐息が、首の裏をそっと撫でる。
背中に回った先生の手は、かすかに震えている。
私は会いたくなかったと暴言を吐いた直後なのに、先生はまた絞り出すような声で囁いた。

「会いたかった、ことりっ……」

まったく余裕のないその声に動揺して、私は言葉に詰まってしまった。
私は何も言えなくなってしまっているのに、先生は耳元で私の名前を呼ぶ。
まるで、会っていなかった四年分の時間を埋めるように。
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