「先生、それは愛だと思います。」完

そう、私は、高橋先生が好きだった。

三年生になったら、先生はいなくなってしまう。もしかしたら、会えるのは今日が最後かもしれない。そう思うと、徐々に鼓動が速まり、手がじっとりと汗ばんできた。

先生に好きって言いたい。好きって言って、綺麗に終わらせたい。

先生に愛の告白をする生徒は沢山いた。よくある『ファンクラブによる告白防止策』なんてものもなく、逆に先生に告白して振られた子を慰める、なんて光景を何度も見てきた。
先生にとって、私みたいな豆粒が告白することなんて、きっと今更どうも思わないはずだ。だったら、思い切って私も告白してしまいたい。そして綺麗に散りたい!

告白する覚悟を決めた私は、入り口付近にある『部室の鍵をいれるボックス』にそっと鍵を返し、駐車場で先生を待ち伏せすることにした。
縁石に座って、一番最後に出てくる高橋先生をしぶとく待つ。

「寂しいな……」

若様を……高橋先生を近くで見られなくなるなんて。
いつも自然体で、でも叱るときはちゃんと叱ってくれる、高橋先生は本当に魅力的な先生だ。

短い恋だったけど、ちゃんと想いを伝えて終わらせよう。
高橋先生、今までありがとう。

「……文ちゃん?」
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