「先生、それは愛だと思います。」完
ーー先生、私は、愛ってやつを、先生に教えることができたかな。
なんの取柄もない私だけど、まだ社会人になりたてで、大人になり切れてはいないけれど、でも、高校生の時も成人した今も、同じ温度であなたを愛しく思う。
年齢とか、大人とか子供とか関係なく、あなたを愛しく思う。
「先生、大好きですっ……、ずっと、会いたかったっ……」
そう言って、今度は私からキスをすると、先生は照れくさそうに少し目を伏せて笑った。
もう先生じゃないけどね、と言って、笑った。
だから、私は初めて先生の名前を口にした。
そうしたら、先生は、私の肩にこてんと額を乗せて、こんなに自分の名前が特別に感じたのは初めてだ、と呟いたのだ。
その声の震えがあまりに切なくて、私は彼の背中を優しくなで続けた。