「先生、それは愛だと思います。」完
あまりにもな言い方に、思わず仲を疑うと、心美ちゃんは大きな目でぎろっと私を睨みつけた。
「誠君が異動した学校って、青葉学園ですよね?」
「え、うん、そうだね」
「私、兄を追いかけてこの高校に来たんです。それなのに私が入学した途端異動なんて……」
高橋先生を追いかけてきたんだ……。
ということは、心美ちゃんは高橋先生が大好きってことなんだ。
折角受験も頑張って受かったのに、きっと悲しかったろな。
「折角偏差値もこの高校に合わせて下げたのに」
「え、ああ、そうだったの……」
「青葉学園ってどこですか? 先輩今日案内してもらえません?」
「え、私?」
後輩たちは心美ちゃんの我儘っぷりに、少し戸惑いだしていた。
鴫ちゃんに至っては、心美ちゃんあまりにもな物言いに、苛立っている様子だ。
「高橋さん、仮にも部長に向かってその態度はないんじゃないですか」
「ちゃんと敬語使ってるじゃないですか」
「あなた今まで友達いなかったでしょ」
「必要なかったもの」