「先生、それは愛だと思います。」完
え、えええ……なんか修羅場化してる。
私は部長であるにも関わらず、すっかり縮み上がり、二人の間に走る火花を見つめていた。
とにかくこの場を静めるためには、二人を離さなくては……。
「心美ちゃんっ、今日はあまり活動することも無いから、とりあえず帰ろう」
「活動が活発なときとかむしろあるんですか」
「んんんん無いけど、無いけど今日はとりあえずね、ね!」
私は心美ちゃんの背中を押して、部室から出た。
すると彼女は、私の腕をがしっと掴み、
「じゃあ連れってくださいね。今日暇なんですよね?」
と、睨みを利かせた。
そんな彼女に強引に連れられて、私は再び青葉学園まで来てしまった。
もちろん隣にこんな美少女を連れていたら、かなり目立ってしまうわけで……。
「心美ちゃん、ちょっと目立ちすぎてるからそのキラキラオーラ抑えてくれないかな!?」
「帰んないでくださいね。一人だとナンパ待ちみたいに思われるじゃないですか」
「そんな理由で連れてきたんだ……」
さすが高橋先生の血筋なだけある。
高橋先生ほど言葉巧みではないけれど、目力とオーラで従わせる感じが似ている。
そんな風に青冷めている間に、心美ちゃんは若い男性教員に話しかけていた。
「すみません、私高橋先生の妹なんですが、高橋先生って今何してらっしゃいますか?」
あれ、あの子あんなに感じよく話せたんだびっくりした……。
「職員会議なんですね、分かりました。ありがとうございました」
戻ってきた心美ちゃんは、振り返った途端一瞬にして笑顔を消し、ちっと舌打ちをした。