「先生、それは愛だと思います。」完
心美ちゃんが先生を大好きなことは伝わるけれど、どうして先生は心美ちゃんを部屋に入れてくれないのだろう……?
何か事情があるのだろうか。
けれど、なんだかそんなことを聞ける雰囲気でもない。
そんなことを思いながら心美ちゃんの美しい顔を眺めていると、彼女は大きな瞳をこっちに向けた。
「あなたも誠君が好きなの?」
「えっ、なんでそんな突然」
思わず動揺して、声がひっくり返ってしまった。
「やめた方がいいよ。誠君、恋愛に対してすごく淡白だし、結婚願望とか皆無だから」
「え……そうなの」
「あ、来た」
結婚願望が皆無……?
だから先生は、こんな遊び半分な付き合い方をしているのだろうか。
そんな風に驚いていると、心美ちゃんが背後に視線を移す。私も同じように振り返ると、そこにはスーツ姿の高橋先生がいた。
「心美、何してるんだ、こんな時間まで……」
「この人がどうしても誠君の自宅を教えてってうるさいから、つれてきたの」
「いや待って待とうか心美ちゃん嘘だよね?」