「先生、それは愛だと思います。」完

もし先生と会ってしまったら、私は一体どんな顔をすればいいんだ。

……私はその日、初めて先生にLINEを送ってしまった。
『先生、勉強合宿くるんですか?』と。
先生からの返信は、お昼休みに届いた。
『YES』という看板を持ったブサイクな犬のスタンプが、一つだけ送られてきたのを見て、私は頭を抱え込んだ。


 * * *

そんなこんなで、ついに勉強合宿の日が来てしまった。
ゴールデンウィーク明けの平日に、何が悲しくて集団で勉強合宿をしないといけないのだ。
先生と会ってしまう可能性も考え、気分は最悪だったが、女子達のテンションはMAXであった。

「文ちゃんっ、先生のところ絶対に行こうねっ」
「う、うん行けたらね……。でも私実行委員だからなー」

はは、と笑ってごまかしたが、ユイコは全く聞く耳持たずだった。
面倒なことに、私はこの合宿の実行委員になってしまった。
実行委員を決める日に、運悪く風邪を引いて休んでしまったのだ。

合宿先は海辺の近くの古い寮で、多きなログハウスの様な建物が、横に五軒ほど繋がって並んでいる。
寮の近くには海があり、そんなにキレイな海じゃないけど、運よく今日は晴天だったので輝いて見える。

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