「先生、それは愛だと思います。」完

「では委員長は、各部屋リーダーに指示をするように」

おじいちゃん先生のゆるい会議を終えて、受け取った資料を整えた。
青葉学園の生徒もぞくぞくと寮に入ってきたのか、少し室内が騒がしい。
畳の和室に、長方形の味気ない机が二つ並んだだけの部屋を出て、私はふうとひとつため息を吐いた。

この資料を全部屋に配って、午後の動きを指示するのか……。

「なんかもうだりぃからこれロビーに置いといて、皆が勝手に取る制度でよくね? LINEで呼びかけてさー」
「適当だな自分本当」

もう一人の実行委員である風間君は、気だるそうにとんでもない案を言いだした。
こんな適当な人に任せられない。本能的にそう思った私は、資料を自分一人で配ることを決めた。
風間君には、朝の体操の時に沢山働いてもらうことにした。

それにしても、今日は何だかムシムシするというか、体の内から熱が上がってくるような気温だ。
五月の爽やかな風なんてどこへやら。今日は殆ど無風で気温が高い。
Tシャツにショートパンツというなんともラフな格好で、私は部屋中に資料を配って回った。


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