「先生、それは愛だと思います。」完

「帰りたいのは分かる。でもここでそれっぽいことをしないと、卒業アルバムが真っ白になる。経費が無駄になる。分かるか? だからはしゃげ」

いや無茶言うなよ。
なんだよその頭につけてる安っぽい白い三角布。まさかと思うがお化けのコスプレのつもりなのかある意味恐ろしいわ。

「海辺の奥の林を入って二十メートル程の所に、小さな社がある。その近くに、呪いを解く設定の百均で買った数珠が置いてあるから、それを取ってきなさい。迷ったら先生に電話しなさい迎えに行くから」

すごい詳細教えてくれるじゃん。お陰でなんのドキドキワクワク感もないわ。しかも先生すぐ助けに来てくれるのかよ優しいな。
とめどない脳内ツッコミの嵐に、私はもはや疲れ始めていた。
しかし、先生は最後に、とんでもないサプライズを用意していた。

「お前らのテンションが全く上がらないのはこっちも予想済みだ残念だったな。だから高橋先生をお呼びした」
「キャーー!!」
「お前ら本当素直だな! さっきまで濁った魚の瞳してたのにな!」

数学の先生はかなりショックを受けているようだったが、皆はひっそり後ろから現れた高橋先生に夢中だった。
ユイコは口を手で覆ってなぜか涙を流していた。教祖様かよ。

「こんばんは、お久しぶりです。皆さんお元気でしたか?」
「好きです!!」
「ありがとう、でもそれ答えになっていませんよ」
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