「先生、それは愛だと思います。」完
でも、私、ちゃんと伝えられたんだ。好きって気持ち、言えてよかった。
それだけで本当に、満足だよ。
文月ことり、十分健闘したじゃないか。よく頑張ったよ。
先生をこうやって困らせてしまったのは、申し訳ないけれど。
じわじわと達成感に満たされていくのを感じていたが、私は気まずくならないようにすぐに口火を切った。
「違う学校へ行っても、頑張ってくださいね!」
「ああ、知っていたんだ、異動のこと」
「先生と離れちゃうのは寂しいけど、先生のクラスの生徒になれたこと、本当に嬉しかったです」
「ありがとう、じゃあ付き合う?」
「叶わない恋だったけど、先生との日々は良い思い出としてこれから先も……は?」
え、待って。待とうか。
今、とんでもない台詞が先生の口から零れ出たような……いやいや、そんなわけない。私の聞き間違いに決まっている。
「い、今なんて……」
「いいよ、別に。暇だし」
「暇だし!? なんですかその理由!?」
私は電光石火のごとく素早くツッコミを入れたが、先生はいつもと変わらない少し眠たそうな表情で、でもしっかりと私を見つめて、口を開いた。