「先生、それは愛だと思います。」完

「なんか、あまりにも振られる気満々で言ってきたから、意表を突いてやりたくなった」
「自分が何を言っているか分かってます!? 今完全に振るのが正解の流れだったんですよ!?」
必死に捲し立てると、先生は数センチ私との距離を詰めて、私の耳に触れ、そのまま毛先まで指を滑らせた。そして、扇情的な笑みを浮かべて囁く。

「知らんわ、そんなの」

そのあまりにもな色気にあてられて、私はごくりと生唾を飲み込んだ。
でも、ちょっと待って、まさかのハッピーエンドなのに、なぜだか全然喜べない。
それは先生の言い分が、全く腑に落ちないからだ。

「まさか先生、いつもこんな風にからかって生徒の告白をOKしてるんですか」
「そんなわけねーだろ。振られて泣いてる子何人も見ただろ」
「で、でも、先生遊び半分でOKしてませんか。わ、私は真剣に告白したのに……っ」

しどろもどろになりながらそう言うと、先生は少し目を鋭くさせた。
それから、少し考えるように目線を斜め上に向けて、また私の方に視線を戻す。

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