「先生、それは愛だと思います。」完
第二章
私だけの特別授業
「文月先輩ってテスト毎回二十番内に入ってるわけじゃ無いんですね?」
「ちょっと高橋さん、まだ入部させたわけじゃないんですけど、なんで勝手に来てるの?」
「鴫ちゃん、心美ちゃん、仲良くしてお願い~」
あまり良い点数ではなかった期末テストが返却され、あまりのショックに部室に立ち寄ってしまった。
久々に心美ちゃんと会ったが、相変わらずの毒舌っぷりで、鴫ちゃんとの間には稲妻が走っている。
そんな二人を宥めたが、心の中で私は物凄く焦っていた。
テストの順位が十二位から二十二位に落ちてしまったからだ。
推薦も視野に入れている私にとってはかなり痛い結果だ。
テスト対策はかなりばっちりやっていたはずなのに、基礎的な学力を必要とする問題で差が出てしまった。
これは、夏休みに猛勉強して挽回しなくてはならない。
「文ちゃん先輩、勉強辛くなったら息抜きにいつでも来てくださいね」
「う、ううううんありがとう行くね」
「編み過ぎです先輩っ、一体足のサイズ何センチの靴下になるんですか!?」
動揺して靴下を編む手が止まらない。
心美ちゃんはそんな私を冷徹に見下ろして、マリーアントワネットのように言い放った。
「成績が落ちたなら予備校に通えばいいじゃない」
いや、そうなんですけど。それはごもっともなんですけど……。
「ちょっと高橋さんっ、なんなのその上から発言」
「し、鴫ちゃんいいよ、大丈夫だよむしろ今更心美ちゃんに敬語使われても気持ち悪いし……」