「先生、それは愛だと思います。」完
「あ、リュック開いっ……」
しかし、言うのが少し遅かった。
彼が靴ひもを結ぶためリュックを一度床に降ろした瞬間、リュックの中身が全て玄関にぶちまけられた。
「開いてるって、言おうとしたんだけど……」
「おせーよタコ」
彼は、ぶちまけられた紙を見つめて少し茫然としてから、悪態をついた。
風で一枚だけ私の手元まで運ばれてきたプリントがあったので、私はそれを拾った。
しかしそれはプリントではなく、少し厚地の紙に描かれた漫画の原稿だった。
「凄く上手……これ何かの複製原画?」
「は? ……あ、いや」
祥太郎君は私からその原稿をパッと取ってから、小声で〝なんでもない〟と呟いた。
「あ、もしかして祥太郎君が描いたの? 超上手いね、漫画家とか目指さないの?」
漫画が好きなせいもあって、思わず少しテンション高めに問いかけてしまった。
彼は少し驚いたように目を丸くさせていたけれど、視線を逸らして首に手を回した。
「目指すわけないだろ、ただの趣味だよ」
「もったいない……」
本当に自然と口からもったいないという言葉が出てしまった。
祥太郎君の意外な一面に、私は少し関心を抱いていた。
「……漫画好きなの?」
「うん、なんでも読むよ。少年でも少女でも」
「そうなんだ、意外だな。ていうか、なんか変な臭いしてねー?」
「あっ、ベーコン炒めてる途中だった!」
しかし、言うのが少し遅かった。
彼が靴ひもを結ぶためリュックを一度床に降ろした瞬間、リュックの中身が全て玄関にぶちまけられた。
「開いてるって、言おうとしたんだけど……」
「おせーよタコ」
彼は、ぶちまけられた紙を見つめて少し茫然としてから、悪態をついた。
風で一枚だけ私の手元まで運ばれてきたプリントがあったので、私はそれを拾った。
しかしそれはプリントではなく、少し厚地の紙に描かれた漫画の原稿だった。
「凄く上手……これ何かの複製原画?」
「は? ……あ、いや」
祥太郎君は私からその原稿をパッと取ってから、小声で〝なんでもない〟と呟いた。
「あ、もしかして祥太郎君が描いたの? 超上手いね、漫画家とか目指さないの?」
漫画が好きなせいもあって、思わず少しテンション高めに問いかけてしまった。
彼は少し驚いたように目を丸くさせていたけれど、視線を逸らして首に手を回した。
「目指すわけないだろ、ただの趣味だよ」
「もったいない……」
本当に自然と口からもったいないという言葉が出てしまった。
祥太郎君の意外な一面に、私は少し関心を抱いていた。
「……漫画好きなの?」
「うん、なんでも読むよ。少年でも少女でも」
「そうなんだ、意外だな。ていうか、なんか変な臭いしてねー?」
「あっ、ベーコン炒めてる途中だった!」