「先生、それは愛だと思います。」完
その言葉を聞いて、俺は思い出したくない思い出の扉を開けてしまった。
〝あなたは結局、一生ひとりなんだわ〟。
あの言葉を言われたのは、今から何年前のことだろう。
大学受験前の時だったから、ちょうど六年前だろうか。
当時付き合っていた彼女……美里に、別れ際に冷たく言い放たれたのを、俺は今でも鮮明に覚えている。
俺が高校三年生の頃、親父は丁度浮気しまくりの時期で、家庭も崩壊しかけていた。
小中高一貫の学校だった為、心美とはたまに学校で顔を合わせていたが、心美は同学年の女子に嫌われている様子だった。
家庭環境が最悪な時期だったこともあり、心美はあまり笑顔を見せなくなり、それが人間関係の悪化へと繋がっていた。
俺はそれを、見て見ぬふりをしていた。
最低な俺はもうその時すでに、家族に関わらずに生きていける方法を探していたのだ。
* * *
「誠、今日も菓子パンなの?」
昼食の時間に教室にやってきた美里が、心配するように問いかけてきた。
俺はコンビニで適当に買ったパンを頬張りながら、次の時間で提出の課題を黙々と解いていた。
「そんな偏った栄養で深夜まで受験勉強して……体壊すよ?」
「美里結局どこ受けんの?」
美里の話題を無理矢理ぶった切って問いかけると、彼女は押し黙った。
肩に丁度かからない短さで整えられた髪は、栗色に均一に染められている。
服装も髪色も自由なこの高校は、県内でトップの進学校であり、毎年東大合格者の人数を大々的に発表している。
容姿は自由な代わりに、勉強は死ぬ気でやれ。そんな校風だったため、俺も髪の毛を茶髪に染めてはいたが、勉強は死ぬ気でやっていた。
〝あなたは結局、一生ひとりなんだわ〟。
あの言葉を言われたのは、今から何年前のことだろう。
大学受験前の時だったから、ちょうど六年前だろうか。
当時付き合っていた彼女……美里に、別れ際に冷たく言い放たれたのを、俺は今でも鮮明に覚えている。
俺が高校三年生の頃、親父は丁度浮気しまくりの時期で、家庭も崩壊しかけていた。
小中高一貫の学校だった為、心美とはたまに学校で顔を合わせていたが、心美は同学年の女子に嫌われている様子だった。
家庭環境が最悪な時期だったこともあり、心美はあまり笑顔を見せなくなり、それが人間関係の悪化へと繋がっていた。
俺はそれを、見て見ぬふりをしていた。
最低な俺はもうその時すでに、家族に関わらずに生きていける方法を探していたのだ。
* * *
「誠、今日も菓子パンなの?」
昼食の時間に教室にやってきた美里が、心配するように問いかけてきた。
俺はコンビニで適当に買ったパンを頬張りながら、次の時間で提出の課題を黙々と解いていた。
「そんな偏った栄養で深夜まで受験勉強して……体壊すよ?」
「美里結局どこ受けんの?」
美里の話題を無理矢理ぶった切って問いかけると、彼女は押し黙った。
肩に丁度かからない短さで整えられた髪は、栗色に均一に染められている。
服装も髪色も自由なこの高校は、県内でトップの進学校であり、毎年東大合格者の人数を大々的に発表している。
容姿は自由な代わりに、勉強は死ぬ気でやれ。そんな校風だったため、俺も髪の毛を茶髪に染めてはいたが、勉強は死ぬ気でやっていた。