「先生、それは愛だと思います。」完
* * *
やっぱり、もう一度ちゃんと心美ちゃんと話がしたいと思って、心美ちゃんをファミレスに呼んだ。
彼女はどかっとソファー席に座り、すぐにオレンジジュースとパフェを頼んだ。
「話って、兄のことですよね。で、結局別れてくれるんですか?」
「う、うーん……それはできないかな」
「ちっ、この間の嘘泣きに同情したと思ったのに」
「嘘だったの!?」
驚き思わず立ち上がると、心美ちゃんは〝さあ?〟とそっけない返事をして、オレンジジュースを飲んだ。
彼女は今日もフランス人形のように美しく、恐ろしいほどツインテールが似合っている。
「でも、そもそも先生と私の関係も、付き合っているとかそういう感じでは……。まだデートもしたことないし」
「兄の気まぐれって感じですか?」
気まぐれ、という言葉が、なんだか胸にグサッと突き刺さった。
その言葉に一瞬押し黙ると、心美ちゃんはそんな私の反応をじっと伺って、
「あなたもなんだ……」
と、少し哀れんだように呟いた。