麗しき星の花
 元花音叔母様専属執事、南原要。現在は私の専属執事をしていただいているのですが……花音叔母様の頃から『青年』だった要の正確な年は不明です。計算すると結構なお年になるのですが……ううーん、でも青年に見えるので青年、と思うことにしておきます。

 毎晩ストレッチ、ヨガの指導、美顔エステをしてくれて、そのうち全身エステもしてあげるわねー、と言われています。

 私はまだ小学生なのですが、と反論すると、長々と美について語られるので、最近は大人しく従っています。花音叔母様もそうだったのでしょうか。今度二人で美に執着しすぎる執事の苦労話に花を咲かせたいものです。


 サラサラの長い黒髪を揺らし、にっこり微笑みかけてきた薔薇のような美青年に、私も微笑みかけます。

「ええ、後は掃除機をかければ終わります」

「お疲れ様でございます、琴音様。ご飯の方は玲音くんが頑張ってるからねー」

 要は丁寧にお辞儀をした後、いつもの砕けた口調に戻り、玲音の様子を教えてくれました。

「玲音は上手に出来ていますか?」

「うふふ、あの子、天才よぉ~? さすが旦那様のお子様だわねぇ」

「玲音は手先が器用ですからね」

「そうなの。東条もうきうきしながら指導しているわ。危ないことはないから心配しないでね」

「ええ、そのあたりは信頼していますわ」

「ありがとー」

 要は微笑んでウインクをしました。その姿はとても○歳を超えているようには見えません……。

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