麗しき星の花
 リビングに掃除機をかけた後、一階にある客室にも掃除機をかけていきます。

 リィシンさんたちにお泊りいただいている一番奥の客室は、お二人にお任せしています。メイドがやると申したのですが、自分たちのことは自分でやるとおっしゃったので、お願いした次第です。

 そうして要と一緒に掃除機をかけて歩いていると、窓の外にリィシンさんとリィファさんのお姿が見えました。

 今日も暗いうちから修行をされていたようです。今は無手での組手をされていて、お互いに拳や足を撃ち込んでいます。

 よく当たらないな……というくらい、速いスピードで拳の応酬をしているお二人。

 毎日こうして見学をしているうちに、お二人の格闘スタイルがまったく別物であることが私にも分かりました。

 リィシンさんは攻撃こそ最大の防御、といった感じの、前へ前へ出るスタイル。対してリィファさんは攻撃を受け流し、そこからのカウンターが主な攻撃手段のようです。

 私の目には、リィシンさんの方がリィファさんを追い詰めているように見えるのですが……ひとつ、疑問に思うことがありました。

「要、ひとつ聞いてもよろしいですか?」

 リィシンさんの横薙ぎの手刀をリィファさんがふわりと真上に飛んでかわし、低い姿勢で突っ込んだリィシンさんの背中に、ころん、と転がるのを見て少し驚きながら、要に質問します。

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