麗しき星の花
「こんばんはリィシンくん、久しぶりだねぇ。どうしたのかな、リィファちゃんは……」
シンの腕の中でぐったりしているリィを見て、奏一郎は心配そうに眉を寄せる。
「あ、ああああのっ、大変なんだ! さっき書庫の前で、幽霊が出て! それで!」
「幽霊?」
慌てるシンとは対照的に、奏一郎はのんびりした様子で首を傾げる。
「危ないんで避難してください! あ、あと、妹を頼みます! 俺、あいつやっつけてきますんで!」
そう捲し立てるシンに、奏一郎はしばらく何か考え込んでいたようだったが、ぽん、と手を叩いて何度か頷いた。
「ああ……幽霊。確かに、そう見えるかもしれないね」
「……え?」
「彼のことだろう?」
奏一郎はシンの後ろに視線をやった。振り返ると、先程の幽霊がすぐ後ろに立っていた。
「ぎゃ───出た───!!!」
思わず叫んでしまうシンに、奏一郎が笑った。
「はははは、すまない、驚かせてしまったようだねぇ。会うのは初めてだったね。彼は僕の執事、北山だよ。幽霊ではないから安心したまえ」
「……え?」
そう言われ、恐る恐る振り返る。
ボサボサの長い髪を顔を張り付かせた執事、北山は全身を覆うほどの黒く長いマントを羽織っていた。
顔色が悪く、更に痩せこけているので、落ち窪んだ目は死んだ魚のようでもあるのだが……確かに、よく見れば生きた人間だった。そもそも、拳が受け止められた時点で幽霊ではないと気づくべきである。
シンの腕の中でぐったりしているリィを見て、奏一郎は心配そうに眉を寄せる。
「あ、ああああのっ、大変なんだ! さっき書庫の前で、幽霊が出て! それで!」
「幽霊?」
慌てるシンとは対照的に、奏一郎はのんびりした様子で首を傾げる。
「危ないんで避難してください! あ、あと、妹を頼みます! 俺、あいつやっつけてきますんで!」
そう捲し立てるシンに、奏一郎はしばらく何か考え込んでいたようだったが、ぽん、と手を叩いて何度か頷いた。
「ああ……幽霊。確かに、そう見えるかもしれないね」
「……え?」
「彼のことだろう?」
奏一郎はシンの後ろに視線をやった。振り返ると、先程の幽霊がすぐ後ろに立っていた。
「ぎゃ───出た───!!!」
思わず叫んでしまうシンに、奏一郎が笑った。
「はははは、すまない、驚かせてしまったようだねぇ。会うのは初めてだったね。彼は僕の執事、北山だよ。幽霊ではないから安心したまえ」
「……え?」
そう言われ、恐る恐る振り返る。
ボサボサの長い髪を顔を張り付かせた執事、北山は全身を覆うほどの黒く長いマントを羽織っていた。
顔色が悪く、更に痩せこけているので、落ち窪んだ目は死んだ魚のようでもあるのだが……確かに、よく見れば生きた人間だった。そもそも、拳が受け止められた時点で幽霊ではないと気づくべきである。