麗しき星の花
 えへっ、と愛らしく微笑みながら、玲音はスマホの画面をシンに見せてくれた。

 玲音の言う通り、まるでどこかの絵画のように美しい、青春の写真だった。しかしそれは自分だ。しかも相手は妹。シンは羞恥心の津波に飲み込まれそうだった。

「な、な……!」

「リィファさん、やっぱりリィシンさんでは反撃してきませんね。これからは注意するようにお伝えくださいね」

「いや、あの!」

「それじゃ」

 玲音はにっこり微笑んで踵を返す。

「待て玲音!」

「あ、ほら、リィファさんが倒れそうですよ。支えてあげてください」

「え、あ、ちょっ、待て!」

 ずるずると姿勢を崩していくリィを受け止めて身動き取れなくなったシンに、にっこりと、愛らしい笑みを残して玲音は去っていった。

「ああああー」

 なんということだ、と頭を痛めて唸っていると、その騒がしさにリィが目を覚ました。

「……どうしたの?」

 顔を上げ、まだ寝ぼけ眼でそう訊ねると、シンは唸りながらリィを見て、ちょっと赤くなった。

「やられた」

 ぷい、と顔を逸らす。

「……ん?」

「玲音に、弱み握られた」

「……ふうん? そんなの、あったの?」

「ない。でも、今、作られた」

「どんなの?」

「そ、それはー……」

 もごもごと口ごもる兄に、リィはこてん、と首を傾げた。

 それから口元に手を当て、欠伸を噛み殺す。

「相手が玲音なら……大丈夫だよ……」

「……なんで?」

「玲音は……家族を守りたいだけだから。玲音が悪いこと考えるのは、みんな、家族のためだよ」

「そう、か」

「琴音が元気なら、玲音はなにもしないよ……」



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