麗しき星の花
「俺の鼻曲がってないよな」
思い出したように痛み出した鼻を心配しながら、扉の向こうへ身体を滑り込ませる。その先には根のない、緩やかに湾曲した白い廊下が広がっていた。この廊下はドーム状の神殿に沿って造られているので湾曲している。
大きな窓から眩しいくらいに陽が差し込む廊下には、天井まで伸びる白い柱が等間隔に並んでいた。
その白い柱の基壇に人が座っている。
紺色の襟足の長い髪に、それと同系色の足元まで長さのある立て襟の服を着た少年だ。スリットのある上着から見える光沢のある白いズボンを履いた長い足は、優雅に組まれている。
陽の光に淡く縁どられた、少年の白い顔は眩いばかり。
落ち着いた雰囲気ながら、華が咲き誇っているかのような絢爛な印象のあるこの少年の名は、ルドルフ=サジタリス=ユグドラシェル。今上惑星王の第一子で皇太子。シンたちの2つ年上の従兄弟だ。
「ルー」
声をかけると、彼は膝に乗せていた分厚い本から紫暗の瞳を上げた。そうして、美しい顔立ちを柔らかくする。
「その様子だと、うまくいったみたいだね」
ゆったりとした問いに、シンは白い歯を覗かせて笑みを作った。
「ああ、ルーの言う通りにやったら出来た」
と、親指を立てて見せる。
「おめでとう。これで父上に一矢報いることが出来そうかな?」
「ああ。正々堂々と奇襲をかけてやっつける!」
「……うん。奇襲は正々堂々とは言えない作戦だけど、応援しているよ」
「ありがと! 絶対に勝つからな!」
底抜けに屈託のない笑顔を見せるシン。果たして奇襲の意味を理解してるのだろうか、とルドルフは笑みながら思う。
思い出したように痛み出した鼻を心配しながら、扉の向こうへ身体を滑り込ませる。その先には根のない、緩やかに湾曲した白い廊下が広がっていた。この廊下はドーム状の神殿に沿って造られているので湾曲している。
大きな窓から眩しいくらいに陽が差し込む廊下には、天井まで伸びる白い柱が等間隔に並んでいた。
その白い柱の基壇に人が座っている。
紺色の襟足の長い髪に、それと同系色の足元まで長さのある立て襟の服を着た少年だ。スリットのある上着から見える光沢のある白いズボンを履いた長い足は、優雅に組まれている。
陽の光に淡く縁どられた、少年の白い顔は眩いばかり。
落ち着いた雰囲気ながら、華が咲き誇っているかのような絢爛な印象のあるこの少年の名は、ルドルフ=サジタリス=ユグドラシェル。今上惑星王の第一子で皇太子。シンたちの2つ年上の従兄弟だ。
「ルー」
声をかけると、彼は膝に乗せていた分厚い本から紫暗の瞳を上げた。そうして、美しい顔立ちを柔らかくする。
「その様子だと、うまくいったみたいだね」
ゆったりとした問いに、シンは白い歯を覗かせて笑みを作った。
「ああ、ルーの言う通りにやったら出来た」
と、親指を立てて見せる。
「おめでとう。これで父上に一矢報いることが出来そうかな?」
「ああ。正々堂々と奇襲をかけてやっつける!」
「……うん。奇襲は正々堂々とは言えない作戦だけど、応援しているよ」
「ありがと! 絶対に勝つからな!」
底抜けに屈託のない笑顔を見せるシン。果たして奇襲の意味を理解してるのだろうか、とルドルフは笑みながら思う。