麗しき星の花
『あはは、違う違う。これは映像を記録として残す機械だよ。この中にシルヴィの兄さんと姉さんがいるわけじゃない』

 フェイレイの声がする。

 シンとリィの頭に、もうひとつハテナが浮かんだ。

『ふうん? ニンゲンの作るものなんて、ちんみょーすぎでおれには分がんねなぁ』

 碧色の目を何度も瞬きさせ、シルヴィはこちらを──映像記録器を覗き込んでいる。

『でも、兄ちゃんと姉ちゃんには、これでおれのごど見えてんだべ?』

『見えてるよ』

『んだが。おおい、兄ちゃん、姉ちゃん、しるびーだよおおー! どうだべ、このカッコ! おれの初めてのトモダチのカッコだがら、めんこいど思うんだげんちょもー』

 シルヴィはぶんぶんと手を振り、くるりと一回転してみせた。碧色の髪とオレンジ色のワンピースがふわりと揺れる。

『ああ、めんこいめんこい。……めんこいって、かわいい、だっけ?』

『そうだよ』

 どこからかリディルの声がした。

 シンとリィの頭上ではハテナマークが大量生産中。

『うひゃっふうー! 褒められちまった! 褒められちまった!』

 喜びを全身で表現するように、両手を上げてフェイレイの周りをぴょこぴょこ走り回っていた幼女は。

 突然、なんの前触れもなく、巨大な碧色のドラゴンに変化した。

「な、なあああああっ!?」

 シンとリィがソファから立ち上がる。

『フェイレイ、すきー!』

 がぶり。

 父が、頭から足まで、一口で丸呑みにされた。

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