麗しき星の花
『シルヴィは賢い子なので大丈夫だとは思いますが、外でドラゴンに変化しないこと、暴れないこと、人の魔力を奪わないこと、知らない人に付いていかないこと、道路に飛び出したりしないこと、お店や学校では走らないことなど、色々伝えてあります。足りないと思ったら、その都度、2人で教えてあげてください』

 普通に親が幼児に教え込むことだな、とリィはこくこく頷いた。

『魔力は一日に一回、与えてあげてください。あとは果物を食べさせれば大丈夫です』

 じゃあ、寝る前がいいか、とリィは考える。

 どれだけ欲しがるのか分からないが、寝る前ならば朝までに回復出来る。そう、思ったとき。

「姉ちゃん、おれ、腹減ったー」

 ぴょん、と背中にシルヴィが飛びついてきた。

「うん、わかった。ええと、じゃあ、今はお昼だから、くだも……」

「姉ちゃんの魔力食いっち!」

「えっ、ちょっと待って、どれくら……」

「いっただっきまーす!」

 リィが言い終わる前に、シルヴィはリィの首筋にあむっと噛み付いた。痛みがあるわけではなかった。歯を立てられるというよりは、吸い付く感じだったから。

「ひゃあっ」

 なんだかくすぐったいと思っているうちに、物凄い勢いで魔力を吸い取られていくのを感じた。

(あ、うそ、そんなに?)

 普段魔力は体内を巡っていて、いつでも外に出せるよう丹田に溜め込んでいるのだが、溜め込んたものが全部丸ごと、奪われていく感じがした。

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