麗しき星の花
「剣の師匠か……。フェイレイさんに教えを請うのが一番なんだろうけれど、そういうわけにはいかないもんね。魔銃も……誰か、いい先生がいればいいんだけど」

 故郷の師匠たちはみんな、それぞれの役目に追われている。まったく会えないわけではないし、手紙でアドバイスももらっているが、直接指導されるのと、文書で見るだけとは明らかな差があるわけで。

 仕方がないとはいえ、その状況が酷くもどかしく感じるときがある。

「ときどき、鴉さんは来てくれるけど……」

 それはゴールデンウィーク中に行った天神温泉で出会った、伝説の大妖怪のことである。

 伝説の大妖怪は、この屋敷の主である和音の手料理が大好物で、たまに嫁を連れて遊びに来ては、シンやリィを相手に大立ち回りを演じ、楽しんで帰っていくのだった。

 刀を武器に、空を飛んだり火を吹いたりする妖怪なので、召喚魔法を使いながらの戦闘も遠慮なく出来るのだが、彼は週に一回来ればいい方で、長いときにはひと月ほど無沙汰となる。修行というほどの稽古相手にはなっていない。

「鴉さんも毎日来ればいいのに」

 シンは頬を膨らませる。

 なぜ鴉さん呼びなのかと言えば、「伝説の黒い翼の河童だ!」と叫んで「河童じゃねえっ、鴉天狗だっ!」と怒られたからである。

「そうだね、鷹雅くんなら実戦の形で相手してくれるし、僕からも頼んでみるよ」

「お願いします!」

 そこでメイドが夕食の支度が整ったと呼びに来たので、3人は揃って屋敷の中へと戻っていった。 



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