麗しき星の花
 2人の魔力は爆発的に伸びているが、さすがに今以上に食われたら身がもたないところだった。……シルヴィが大人になる頃に、自分たちが生きているかどうかは分からないけれど。

「幼竜のうちは体を構成する魔力を自己生成出来ないから、外から補給するってことなんだね……」

 しかし、そこで疑問が生まれる。

 シルヴィのその生態は、魔族というより精霊寄りだ。自然の中にある魔力を取り込んで存在を維持する精霊、それと似ている。

 古代竜とは一体なんなのか。

 しかしその疑問は眠気に負けて、ふわふわと飛んでいきそうになる。リィも眠いのだ。父ちゃんバージョン五所川原を抱きかかえながら、眠そうな顔が更に眠そうになっている。

「でも……父様たちに会うまで、誰から魔力をもらってたの……? ずっと山の中にいたんだよね……?」

 シルヴィと一緒に寝るわけにはいかないので、リィは眠気を堪えるように疑問を口にした。

「ホントの母ちゃんがら貰ってただ」

 シルヴィは眠くて瞼を閉じながらも、穏やかな顔で教えてくれた。

「古代竜は、自分で魔力作れるようになるまでは母ちゃんがら魔力貰うんだ。でも、おれの母ちゃん死んじまったがら……しばらくは森がら……精霊がら、ちっとずつ貰ってだんだ。でも足んにがったみでぇで、体がうんと小せぐなっちまってなぁ。『しるびー』に会ったのもその頃だったぁ。おれ、兄ちゃん達より小せぐなってだんだよ。んだがら力弱くて……しるびー、守れながったぁ……」

 その『シルヴィ』は、シルヴィのお友達だ。

 今、彼女が人の姿を造るのに借りている幼い少女。

 その友達を失って、死なせてしまった人間たちに怒って、暴れて、そうしてフェイレイたちに出会って……。

 シンとリィは無意識にシルヴィの小さな手に自分たちの手を重ねていた。

 その兄と姉の手を握って、シルヴィは穏やかに語る。

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