麗しき星の花
「楽しそうな軍事演習ですね」
「だろ? 体育祭っていう名前なんだ」
体育祭は決して軍事演習ではないのだが、天神学園で行われる演目には怪しげなものが多く、そんな勘違いをしてしまうミルトゥワ民である。
更に手紙を読み進めていたヴァンガードは、最後の報告に額に手をやって目を閉じた。
「しまった……ダンスですか。教えるのを忘れていました」
「ああ、武術を教えるのに手一杯だったからな」
「リィが困らなかったのは、ローズマリー陛下が歩法の中にダンスのステップも組み込んでいたからでしょうか」
「ああ、あれな。皇族の女性の嗜みで、どんな動きをしてもスカートが翻らないヤツ。実際見てみたけど、『浮身』と『沈身』が自然と出来て、地面を蹴らない動きだから始動が分からないし、突きや蹴りの切れや威力も格段に上がったよな」
だから、リィは近接戦闘になるとくるくる回るのである。あれは力を抜いて地面を蹴らずにステップを踏むように動いているから、そういう動きになるのだ。
ローズマリーはリィの特性を生かし、徹底的に相手の攻撃のかわし方と受身を覚えさせ、相手の力を利用して反撃するカウンターの鬼へと育てた。
ちなみにシンにはリィと同じ指導をしながらも、打たれ強さを生かして徹底的に体を鍛える方向に導いている。彼には重くて長いアストレイアを振り回すだけの力が求められるからだ。
「ええ。それに、足を上げても見事なまでに隠れているんですから……。確かに、リィのような愛らしい少女には必要な歩法ですね」
「ああ。愛娘が危険に遭わないための技を教えてくれた陛下には感謝してるよ」
「ええ、本当に」
うんうん、と頷きあう男二人。
「だろ? 体育祭っていう名前なんだ」
体育祭は決して軍事演習ではないのだが、天神学園で行われる演目には怪しげなものが多く、そんな勘違いをしてしまうミルトゥワ民である。
更に手紙を読み進めていたヴァンガードは、最後の報告に額に手をやって目を閉じた。
「しまった……ダンスですか。教えるのを忘れていました」
「ああ、武術を教えるのに手一杯だったからな」
「リィが困らなかったのは、ローズマリー陛下が歩法の中にダンスのステップも組み込んでいたからでしょうか」
「ああ、あれな。皇族の女性の嗜みで、どんな動きをしてもスカートが翻らないヤツ。実際見てみたけど、『浮身』と『沈身』が自然と出来て、地面を蹴らない動きだから始動が分からないし、突きや蹴りの切れや威力も格段に上がったよな」
だから、リィは近接戦闘になるとくるくる回るのである。あれは力を抜いて地面を蹴らずにステップを踏むように動いているから、そういう動きになるのだ。
ローズマリーはリィの特性を生かし、徹底的に相手の攻撃のかわし方と受身を覚えさせ、相手の力を利用して反撃するカウンターの鬼へと育てた。
ちなみにシンにはリィと同じ指導をしながらも、打たれ強さを生かして徹底的に体を鍛える方向に導いている。彼には重くて長いアストレイアを振り回すだけの力が求められるからだ。
「ええ。それに、足を上げても見事なまでに隠れているんですから……。確かに、リィのような愛らしい少女には必要な歩法ですね」
「ああ。愛娘が危険に遭わないための技を教えてくれた陛下には感謝してるよ」
「ええ、本当に」
うんうん、と頷きあう男二人。