麗しき星の花
 精霊の女王たちと契約を結んでから2日後。

 示し合わせたように同時に目を覚ましたシンとリィは、他のベッドで眠ればいいものを、わざわざシンの隣で眠っていた紺色の髪の従兄の顔を見下ろした。

「ルー、今父さんたちはどこだ?」

 まだ外が薄暗い早朝だというのに、シンは迷惑を顧みず、ルドルフの寝巻きを掴んで揺さぶった。ルドルフは眠そうに顔を顰めながら答える。

「……ああ、君たちが倒れたから、迎えに来て……そのままこっちに泊まってるよ……外の近衛騎士に聞いてみるといい……」

「ありがと!」

 ぱっとルドルフの寝巻きを放すと、柔らかな枕の中に紺色の頭が沈んだ。

 うーん、と唸るルドルフをじいっと見つめたリィは、

「……おはよう」

 と挨拶をしながら、起こしてごめんね、の意味を込めて紺色の頭を撫でてやった。

「……うん、頑張ってね……」

 ルドルフは眠そうに、それでも笑顔でヒラヒラと手を振った。




 ルドルフの私室を出ると、扉の両脇に近衛騎士が立っていた。その2人に聞くと、両親はいつもの客間で休んでいるとのこと。

「早くしねぇと父さんは起きちまう」

「うん」

 ルドルフの私室のある南の塔から、来賓用の部屋がある東の塔へ。赤い絨毯の敷かれた廊下を駆けていると、途中、噴水のある広大な庭を臨む回廊に出た。

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