麗しき星の花
 その間にシンが剣をベッドから引き抜いてフェイレイへ突撃。両手で柄を握り締め、上段から振り下ろした。

 それを片手で軽々と受け止めたフェイレイは、そのまま力任せに押し退ける。シンの小さな身体が吹っ飛び、窓ガラスを突き破って外に放り出された。

「シン!」

 スライドを引いて、トリガーを引く。

 弾倉をリロードしてからここまで、1秒もかかっていない。しかしそれでもフェイレイを捉えることは出来なかった。弾道を見極められているのか、掠りもしない。

「リィ、無駄に撃ちすぎだ。もっとよく狙えよー」

 にいっと白い歯を見せて笑ったフェイレイは、割れた窓ガラスから外へ飛び出していった。

 それを追おうとして、ふわふわと白い羽の舞うベッドの傍らに立つ母に気付いた。

 欠伸を噛み殺して、ぼんやりとした翡翠の瞳でリィを見たリディルは、娘に向かって小さく微笑んだ。

「おはよう」

「……おはよう、母様。危ないから、そこにいてね」

 弾倉をリリースしながら挨拶をしたリィは、割れた窓ガラスから外へ飛び出していく。

 それを見送ったリディルは、困ったように小さく溜息をついた。

 剣の刺さったベッドからは白い羽が舞い上がり、その向こうの窓ガラスは枠ごと吹き飛んでいる。更に庭では芝生の生えた土が高々と舞い上がるのが見えた。

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