麗しき星の花
「巡れ、星よ。リィシンの」

「リィファの」

「星の力を対価に、高潔なる女王の力を、ここに!」

 足元から、目も開けていられないような碧色の光が噴き出す。

 赤い髪もハニーブラウンの髪も吹き上げる風に舞い上がり、重なり合った小さな円陣からは様々な色が飛び出してきて、神木に引き寄せられていった。

「『エレメンタル』きた!」

「しー」

 思わず声をあげるシンに、リィは桜色の唇に人差し指をあて、静かにするように促す。

 その後も次々に色は現れ、神木は見上げる高さまで光に溢れた。それは様々な色の実が成っているようにも見える。

 すべての色が現れると碧色の光は弱まり、風も凪いだ。

 ぼんやりとした光を放つ神木の実に見とれていると、いつの間にか見上げるほどに大きな美しい女性たちが2人を取り囲んでいた。

 赤、水色、白、黄丹。それぞれの力を表す色の滑らかなドレスを纏い、彫刻のように美しい造形の顔で無表情に2人を見下すのは四大精霊と呼ばれる者たち。

「……女王」

 リィがポツリと呟く。

 シンは深海色の瞳をパチパチ瞬きさせると、元気な声を上げた。

「精霊の女王たち! こんにちはっっ!」

 暗い室内に、大きな声がわぁんと反響する。

「……契約の儀式でこんにちは、はないと思うよ……」

「じゃあなんて言うんだよ。挨拶は基本だろ?」

 リィのツッコミにシンが唇を尖らせていると、耳に心地よい鈴の音色がころころ転がるように響いてきた。よく聴けば、それは笑い声だ。

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