麗しき星の花
「今俺が教えているのはね、その技を出すための前段階のものだよ。……少しはやる気、出たかな?」

「はい! はいっ!」

「よろしい。では、続きをやろうか」

「はい! よろしくお願いします!」

 少しだけ遊びに心惹かれそうになったシンだが、それも本物の強さの前ではあっという間に霞んでしまった。気力も新たにアストレイアを構える。

 そんな師弟の様子を見ていた神楽がニヤニヤと笑う。

「おー、良かったなー。やっぱ真面目一辺倒じゃ駄目だろーが。やる気を出させるにはちょっとした変化もつけてやんねぇとなぁ。アドバイスした俺に感謝しろよっ……どわああああ!」

 神楽の声が、途中で悲鳴に変わった。

 ヤンキー座りしていた彼は見事にひっくり返り、その顔の真横には白い矢が突き刺さっていた。

 どこから飛んできた、あの矢。

 シンが驚いて目を丸くしていると、すぐ傍から低い声が響いた。

「お前は反省をしろ。俺は最初に邪魔をするなと言ったはずだ」

 聖は透明な剣身の剣ではなく、白く光る弓を番えていた。そこで引かれている弓は、神楽の顔の真横に突き刺さっている白い弓と同じものだった。

 いつの間に弓を。てか、剣はどこにいった。そう思ったシンだが、剣と弓が同じ気を発していることに気づいた。剣が弓に変化したのか。シンはそう理解した。

「てめっ、危ねぇだろーが!」

「邪魔をするからだ」

「邪魔なんてしてねーよ! ちょっとアドバイスしただけだろ!」

「人の神経を逆なですることがアドバイスか」

「言い方は人それぞれ、ちょっと毒の入った言葉も愛嬌だろっ。真面目すぎてちょっとした冗談も通じねえのかよそうかよだから顔だけの男は嫌なん……」

「どうやらその口に突っ込んで欲しいようだな」


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