麗しき星の花
階段を降りていくと、リィが待っていた。ここにシンがいなかったことに、シャルロッテは安堵した。パタパタと目から零れ落ちてくるものを、黒いローブの袖が受け止めている。きっと酷い顔をしている。こんな顔は見せたくない。
シャルロッテは無言のままリィの横を通り過ぎる。リィも黙って彼女の隣に並んで歩き出した。
「あの子は、躊躇いなくシンを選べるのですね」
しばらく経ってポツリ、ポツリと語りだす。
「何もかもを捨てて、シンのことだけを見ていられるのですね」
「わたくしには、出来ません」
「わたくしは、シンの気持ちよりも、自分の都合を優先してしまう。何もかもを捨ててまで、彼を愛することは出来ません」
「……ロッティと野菊ちゃんは、背負っているものが違うから」
リィの言葉に、シャルロッテは首を横に振る。
「それでもわたくしは、あんな風に心の底から、シンだけが好きだと、言えません……」
シャルロッテが公家を継ぐためには、どうしてもシンが必要だった。
血筋から言えば、シャルロッテはまさしく神の御子。だがしかし、母に似てしまった彼女には微々たる魔力しかなく、皇家の者にだけ与えられた力、精霊の女王召喚も出来ない。精霊の女王との契約は出来ても、喚びだすことが出来ないのだ。
そんな半端者を、神殿は認めなかった。
もちろん、表向きはシャルロッテに傅く。しかし解るのだ。彼らは決して、女王を召喚出来ない者を皇族とは認めない。そして、やはり神の一族以外の血を入れたために、血が穢れてしまったのだと、母までも批難される。
シャルロッテは無言のままリィの横を通り過ぎる。リィも黙って彼女の隣に並んで歩き出した。
「あの子は、躊躇いなくシンを選べるのですね」
しばらく経ってポツリ、ポツリと語りだす。
「何もかもを捨てて、シンのことだけを見ていられるのですね」
「わたくしには、出来ません」
「わたくしは、シンの気持ちよりも、自分の都合を優先してしまう。何もかもを捨ててまで、彼を愛することは出来ません」
「……ロッティと野菊ちゃんは、背負っているものが違うから」
リィの言葉に、シャルロッテは首を横に振る。
「それでもわたくしは、あんな風に心の底から、シンだけが好きだと、言えません……」
シャルロッテが公家を継ぐためには、どうしてもシンが必要だった。
血筋から言えば、シャルロッテはまさしく神の御子。だがしかし、母に似てしまった彼女には微々たる魔力しかなく、皇家の者にだけ与えられた力、精霊の女王召喚も出来ない。精霊の女王との契約は出来ても、喚びだすことが出来ないのだ。
そんな半端者を、神殿は認めなかった。
もちろん、表向きはシャルロッテに傅く。しかし解るのだ。彼らは決して、女王を召喚出来ない者を皇族とは認めない。そして、やはり神の一族以外の血を入れたために、血が穢れてしまったのだと、母までも批難される。