麗しき星の花
 それを避けるため、力を磨いた。勇者とともに世界を救い、父を救い、自分の力で周囲を認めさせた母のようになろうとした。求められる以上の教養を身につけ、どんな時も淑やかに、したたかに微笑んで見せた。

 それでも彼女に公家を継ぐことは許されない。皇女という立場をもってしても、精霊の女王を召喚出来ない身では。

 だから必要だったのだ。誰からも認められる尊い血筋と力の持ち主が。更に精霊の女王を召喚出来れば、誰にも文句は言わせない。だって自分は、惑星王の実子。相手が完璧な条件を持っているならば、堂々と公家の一員として、胸を張っていられる……。


「わたくしは、わたくしの都合でシンが欲しかった。だから真っ直ぐにシンを想うあの子に勝てるわけがないのですわ……」

 ほろほろと、シャルロッテの目から涙が溢れていく。

 リィはそんな彼女の手を取って、そっと握り締めた。

「……あのね。初恋は、実らないものなんだって。でも、二番目の恋は、きっとうまくいくよ……」

「……そうでしょうか」

「うん」

 リィの妙に実感がこもった頷きに、シャルロッテは少しだけ心が軽くなった気がした。





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