麗しき星の花
「うわー、霸龍闘くんとリィちん、ラブラブだねぇ。シンくん、私たちも負けてられないよぉ」

 薄い茶髪をリィと同じように結い上げ、マーメイドラインのドレスで美しいスレンダーボディを魅せている野菊が、シンの腕に抱きつく。彼女のドレスには淡い紫色の小花が散りばめられている。シンの好きな『ノコンギク』を模した飾りだ。

「こら、野菊! 今日は偉い人ばっかりだからあんまりくっつくな」

「腕組むくらいいいじゃん~。人前でべろちゅーするわけじゃないんだからさぁ。それともやっとく? 緊張ほぐれるかもよ?」

「神様の前でそんなことするかっ!」

「でもキリスト教の結婚式では、神様の前で夫婦の誓いのキスするんだよー?」

「え、そうなのか?」

「うん。だからこっちの神様の前でもしとく?」

「う、ううーん……」

 悩み始めたシンの後ろで、介添人である女官が厳しい顔で「おほんっ!」と大きく咳をした。止めておいた方がいいようだ。




 荘厳な鐘の音が、もう一度辺りに響き渡った。

 それを合図に、四人は赤い絨毯の敷かれた神殿内をゆっくりと進んでいく。
 
 大勢の大臣や他国の重鎮たちの前を通り過ぎると、皇族が並んでいるのが見えてきた。

 皇太子ルドルフを始め、五人の皇子、皇女たちが進んでくるシンたちを静かに見守っている。

 その中でもピンクブロンドの巻き毛のグラマラスボディ美女が、野菊を見るなりくっと顎を上げ、不遜な態度を取った。

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