麗しき星の花
《なるほど、間違いなくあの馬鹿の子だ》
「な、なに? 馬鹿?」
「……父様のこと?」
首を傾げるリィに、精霊たちからは笑いながら頷く気配がした。
《しかし、そなたらはまだ半人前ではないのか? 小さな精霊士(マスター)よ。我らを召喚など出来るのか?》
神木に灯った紅い光がゆらり、と揺れる。火の精霊ティナの女王の鋭く紅い瞳が、小馬鹿にするように細められた。
《無理はいけません。私たちすべてを喚び出し、それを操れる技量があるのは認めましょう。ですが、あなたたちはまだその身体に眠る膨大な魔力を御しきれていません。下手をすれば暴走し、死を招きますよ》
涼やかに響く声は水の精霊ウィスカの女王。美しい青銀の髪が、さらさらとドレスを流れる。
「だからリィと2人でやったんだ。リィと一緒だとなんでもうまくいく」
シンがふん、と胸を張る。隣でリィが小さく頷いた。
《2人でひとり……というわけか。確かにな、お前たちの血は同じだが》
風の精霊グィーネの声は、心地よい風とともにやってくる。透明に近い白のドレスは渦巻き、美しい肢体を包み込んでいる。
《しかし何故、そんな危険を冒してまで我らと契約を?》
どっしりとした大地のように落ち着いた声は、土の精霊ウィルダスの女王。浅黒い肌に砂紋模様の黄丹のドレスを纏っている。
「父さんに勝つためだ!」
シンは精霊の女王たちに向かって拳を振り上げた。
「俺たち、父さんをやっつけないと異世界行きなんだ!」
「……私もシンも、父様や母様と離れたくない。一緒に、旅、行きたい。魔族と仲良くなろうって、説得する、旅……」
「父さんに勝ったら一緒に連れてってくれるって言った! だから!」
女王たちは2人の言葉を静かな眼差しで受け止める。
それから、美しい鈴の音色の溜息が漏れた。
「な、なに? 馬鹿?」
「……父様のこと?」
首を傾げるリィに、精霊たちからは笑いながら頷く気配がした。
《しかし、そなたらはまだ半人前ではないのか? 小さな精霊士(マスター)よ。我らを召喚など出来るのか?》
神木に灯った紅い光がゆらり、と揺れる。火の精霊ティナの女王の鋭く紅い瞳が、小馬鹿にするように細められた。
《無理はいけません。私たちすべてを喚び出し、それを操れる技量があるのは認めましょう。ですが、あなたたちはまだその身体に眠る膨大な魔力を御しきれていません。下手をすれば暴走し、死を招きますよ》
涼やかに響く声は水の精霊ウィスカの女王。美しい青銀の髪が、さらさらとドレスを流れる。
「だからリィと2人でやったんだ。リィと一緒だとなんでもうまくいく」
シンがふん、と胸を張る。隣でリィが小さく頷いた。
《2人でひとり……というわけか。確かにな、お前たちの血は同じだが》
風の精霊グィーネの声は、心地よい風とともにやってくる。透明に近い白のドレスは渦巻き、美しい肢体を包み込んでいる。
《しかし何故、そんな危険を冒してまで我らと契約を?》
どっしりとした大地のように落ち着いた声は、土の精霊ウィルダスの女王。浅黒い肌に砂紋模様の黄丹のドレスを纏っている。
「父さんに勝つためだ!」
シンは精霊の女王たちに向かって拳を振り上げた。
「俺たち、父さんをやっつけないと異世界行きなんだ!」
「……私もシンも、父様や母様と離れたくない。一緒に、旅、行きたい。魔族と仲良くなろうって、説得する、旅……」
「父さんに勝ったら一緒に連れてってくれるって言った! だから!」
女王たちは2人の言葉を静かな眼差しで受け止める。
それから、美しい鈴の音色の溜息が漏れた。