麗しき星の花
「……ね? 2人でならうまく出来るかもって、思った、けど……出来なかった。父様たちは、今、行っちゃう。……間に合わない、よ……」

 リィの目が今にも泣きそうに揺れる。

「リィ……」

 それを見るシンの深海色の瞳も揺れる。悔しいが、言い返すことが出来ない。冷静になってみるとリィの言う通り、もう無理なのだ。自分たちの信念を押し通すことは。

 そこに、ドアをノックする音が響いた。寝室のドアが開いて、紺色の髪の従兄が現れる。

「ああ、起きたようだね。おはよう。一緒に朝食はどうだい?」




 丸一日寝ていたという2人は、3日前に女王と契約してから何も食べていないことに気付いた。気付いた途端に切ない音を立てる現金な腹の虫。それを大人しくさせるため、3人は皇宮の東の塔にある広い食堂にやってきた。

 邪魔なほど長いテーブルに、給仕たちに椅子を引かれて座る。ルドルフの背後には、いつの間にか水色の髪の護衛官が控えていた。

「ヴァン……」

 声をかけると、彼はいつものように優しい笑みを向けてくれた。

 そういえば、両親はどうしたのだろう。そう思い、視線を巡らせる。

「勇者殿たちは旅の準備をしに離宮に帰っているよ。準備が出来次第、君たちを異世界へ送るそうだ。なにか必要な荷物があるなら持ってこさせるけど」

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