麗しき星の花
 その様子を眺めるルドルフは、ナイフとフォークを置いて息を吐いた。

「……すまないね」

 何故謝るのか解らない2人は、顔を上げる。

「君たちはここにいると危険なんだ。そういう状況を作り出したのは父上だ。……代わりに謝る。すまない」

「……どういうことだ?」

「君たちはこの星が今、どういう状況にあるか、知っているかな」

「……大体、は」

 リィがぼそりと答える。

「魔族との冷戦状態を回復させるために、起動エレベーターを動かす。他星からの流入が増えれば、内乱を起こしてる場合じゃなくなる」

「そう。未開のこの星が先進惑星と対等に渡り合えているのは、精霊を中心とした武力があるおかげだった。それがないと知られれば、どうなるのか分からない」

「……もし攻撃されれば、負ける……ね」

「ティル・ジーアや各国の戦艦を寄せ集めたとしても、火力が違いすぎる。白兵戦となればまた別なのだろうが……向こうは宇宙空間からの攻撃に徹するだろう。そうなると、護りの防壁が必要となる。精霊の力が必須だ。だが……今は、力が足りない……」

 15年前の魔族との戦争で、精霊たちは力を使い果たした。女王がいるのだから、破壊された自然が元に戻れば、小さな精霊たちもまた以前のように笑顔を見せてくれると思っていた。

 けれども、そうはならなかった。

 世界が安定しても、小さな精霊たちは戻ってこない。

「そっか、だからルーは女王を召喚出来る人を増やしたいんだな」

 シンも理解したようで、頷く。

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